尿漏れを治療するために、自分の症状を知ることから始めましょう

尿漏れの治療

「尿が漏れたくらいで、病院なんて大げさな…」
尿漏れが起きていても、泌尿器科に行くのは抵抗があるし、軽度の症状であれば我慢すれば大丈夫、と放置してしまう方も少なくありません。

しかし、「尿漏れ」は病気の症状である場合があります。
膀胱周辺の異常や、重度の場合だと腎臓の異常にも関わってくることすらあります。

つまり、治療が必要かどうか専門家に判断してもらう必要があるのです。

幸い、尿漏れは非常に多くの人に起こる症状なので、治療方法がある程度確立されていますし、軽度の場合は自分で改善を図ることも可能です。

まずはしっかり原因を知って、治療方法を見ていきましょう。

1.「腹圧性尿失禁」による尿漏れを治療する方法
2.「切迫性尿失禁」による尿漏れを治療する方法
3.「溢流性尿失禁」による尿漏れを治療する方法

「腹圧性尿失禁」による尿漏れを治療する方法

「腹圧性尿失禁」による尿漏れ

まず、「腹圧性尿失禁」が原因で起こる尿漏れを治療する方法を見ていきます。

腹圧性尿失禁の症状とは?

大笑いした時、重いものを持ち上げた時など、お腹に力が入った時に起きる尿漏れは、多くがこの「腹圧性尿失禁」とされています。

特に女性に発症しやすい症状で、膀胱の動きをコントロールする「骨盤底筋」という筋肉が弱ることで腹圧に耐えきれず、少量の尿が漏れてしまうのです。

関連記事:「女性の尿漏れの原因は大きく二つあり対策がそれぞれ違います」

無意識にしてしまう尿漏れは、多くがこの腹圧性尿失禁と言われています。
・少量の尿漏れ
・無意識に漏らしてしまう

この条件に当てはまった場合は、まず腹圧性尿失禁を疑いましょう。

関連記事:「無意識な尿漏れを改善予防することはできます」

腹圧性尿失禁が発症しやすい年齢層は、40代以上です。
加齢による全身の筋力低下に伴って、骨盤底筋の筋力も衰えがちになります。

関連記事:「尿漏れが増え始める40代では、生活習慣の改善や体操で尿漏れ予防しましょう」

しかし、一方で30代以下の若い世代でも発症することがあります。
この場合の主な原因は肥満・慢性的な便秘などです。

関連記事:「若い方にも尿漏れはあるので原因を知り対策しましょう」

腹圧性尿失禁を治療する方法とは?

腹圧性尿失禁の原因は、骨盤底筋が弱ること。
ですから、骨盤底筋のトレーニングをして腹圧性尿失禁を治療しましょう。

方法は次の通りです。

・仰向けに寝転がり、足を肩幅に開いて膝を立てる
・肛門と尿道辺りに力を入れ、5秒間キープ
・力を抜く

この、力を入れてキープし、力を抜くという流れを繰り返します。

筋力トレーニングの一種なので継続は必要。
1日10分程度、3か月ほど続けることで多くの場合は効果が表れます。

関連記事:「尿漏れの予防や改善には1日10分の骨盤底筋体操が効果的です!」

多くの場合はこのトレーニングで改善しますが、中度以上の症状では改善しないことがあります。

その場合は、一般的に「TOT手術」などの手術という選択肢を考える必要がでてきます。

TOT手術は、尿道をテープで固定し、腹圧がかかっても尿が漏れないようにする術式で、基本的に体にかかる負担が少ない手術です。
早い場合は手術の日から2日後には退院できます。

「切迫性尿失禁」による尿漏れを治療する方法

「切迫性尿失禁」による尿漏れ

ここからは、「切迫性尿失禁」を治療するための方法について見ていきます。

切迫性尿失禁の症状とは?

切迫性尿失禁の症状は、突然尿意を感じてトイレに行くのが間に合わず漏らしてしまう、といったものが典型的です。

通常、脳は膀胱に尿がたまったら膀胱に収縮するよう指令を出します。
しかし、何らかの原因で脳の指令が膀胱に届かない場合、膀胱は暴走、勝手に収縮することによって尿漏れが起きてしまいます。

この原因は解明されていない部分もありますが、女性では臓器脱などの病気、男性では前立腺の異常が原因となる場合が多いです。

前立腺は男性特有の臓器で、加齢とともに肥大化して尿道を圧迫することで切迫性尿失禁の原因となります。
前立腺異常は重篤な病気に繋がることもあるので、そのサインを見逃さず、早めに医療機関で受診することが大切です。

関連記事:「男性特有の前立腺異常による尿漏れは放置しないで専門医に相談」

腹圧性尿失禁と同様に、若い年代でも発症するケースがあります。
その場合の原因は、主にストレスや生活習慣の乱れ。

腹圧性尿失禁が肥満・便秘を原因として発症することも踏まえれば、不健康な生活は若年層で尿漏れが発症する大きな原因となっているといえます。

切迫性尿失禁を治療するには?

切迫性尿失禁の治療は、自力でできる場合も、医療機関のサポートが必要な場合もあります。

自力でできる治療法としては、次の3つがあります。

・膀胱訓練
膀胱訓練とは、切迫性の尿意が襲ってきてもすぐトイレに行くのではなく、少し我慢してから排尿するというものです。
これによって「尿がたまったら膀胱を収縮する」という正常な状態に戻していくのです。

・サプリメントの摂取
ホルモンバランスを整えるサプリメントなどを摂取するという方法もあります。
特に効果的とされているのが、かぼちゃ種子油を配合したサプリメント。
尿漏れの一因と考えられる女性ホルモン・男性ホルモンのバランスを整えてくれます。

関連記事:「尿漏れ対策にはサプリの服用や体操など自分に合った方法を探してみましょう」

・骨盤底筋のトレーニング
腹圧性尿失禁の治療法として紹介した骨盤底筋のトレーニングですが、切迫性尿失禁にもある程度効果が見込めるとされています。

なお、切迫性尿失禁の原因がストレスや生活習慣の乱れである場合は、ストレスを解消することや生活習慣を整える事で改善できます。

そして、医療機関で受診する場合には、原因によって適切な治療が実施されます。
例えば、前立腺肥大が原因であれば、前立腺を小さくする投薬治療が行われることが多いです。

「溢流性尿失禁」による尿漏れを治療する方法

「溢流性尿失禁」による尿漏れ

最後に、溢流性尿失禁について見ていきます。

溢流性尿失禁の症状とは?

溢流性尿失禁は、自分で尿が出したいのにうまく出せず、一方で意図していないタイミングで尿が流れ出てしまうというケースです。

男性に多い尿漏れ症状で、主な原因は前立腺肥大からくるものだとされます。
悪化すると腎不全になりかねないので、早期の治療が特に重要です。

溢流性尿失禁を治療するには?

溢流性尿失禁の治療も、切迫性尿失禁と同様に原因によって変わります。
しかし、溢流性尿失禁は病気が原因で発症していること多いので、自分で改善を図るのではなく医療機関を受診するようにしましょう。

ここまで見てきたように、尿漏れを治療する方法は様々です。

ほとんどの場合は軽症で、骨盤底筋のトレーニングなどで改善することが多いとされています。

ただし、重い病気が原因となっている可能性もあります。
不安な場合は自分で判断せず、とにかく医療機関を受診することが肝心です。

「何も異常がない」ことが一番ですが、二番は「できるだけ早く異常を見つける」こと。
悪化してから治療を始めることにならないよう、早めの受診を心がけましょう。