尿漏れの予防や改善には1回10分の骨盤底筋体操が効果的です!

40歳以上の女性の2人に1人が尿漏れに悩んでいると言われます。
女性の尿漏れはほとんどのケースが「腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)」で、これは出産・加齢・便秘・肥満などが要因で起こる尿漏れです。

誰にも相談できずに一人で悩んでいる女性が多いようですが、大抵の尿漏れは病院での治療や、自宅での簡単な体操で改善することができるのです。

治療や対策は尿漏れタイプによって多少異なりますが、腹圧性尿失禁での尿漏れに特に効果的だと言われるのは「骨盤底筋体操(こつばんていきんたいそう)」です。
これは、あまり時間もとられず誰にでもできる簡単な体操です。

今回は、40歳以上の女性に多い腹圧性尿失禁での尿漏れのメカニズム、そして尿漏れ予防と改善に効果的な体操「骨盤底筋体操」についてご紹介いたします。

短時間でできる運動なので、日常生活のすきま時間を利用してやってみてくださいね!

1.腹圧性尿失禁による尿漏れ対策には骨盤底筋体操が効果的!
2.今日からできる!尿漏れに効果的な基本の骨盤底筋体操
3.尿漏れ改善には色々な体位での骨盤底筋体操がオススメ!
4.尿漏れ対策の骨盤底筋体操は正しく続けることが一番大切です!

1.腹圧性尿失禁による尿漏れ対策には骨盤底筋体操が効果的!

まずは、女性に多い尿漏れタイプである「腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)」の症状やその原因、そして治療法を見てみましょう。

腹圧性尿失禁の症状

日常の生活の中で、咳やくしゃみ、運動、排便、笑ったり重い荷物を持ったりしてお腹に力が入った時に尿が漏れ出てしまいます。

腹圧性尿失禁の原因

女性は妊娠・出産、加齢による女性ホルモンの減少、肥満、便秘などの要因により骨盤底が緩んでしまいます。緩んだ骨盤底のせいで尿道が不安定になり、膀胱が腹圧に耐えきれなくなり尿漏れを引き起こします。

腹圧性尿失禁の治療

腹圧性尿失禁の治療としては、主に薬物療法、手術療法、骨盤底筋体操の3つがあります。

泌尿器科での薬物療法では、骨盤底の筋肉を強めるための薬が処方されます。
よく使用されるのは、尿道の閉鎖圧を高める作用のあるスピロペントや抗コリン剤ですが、これらは尿漏れを根治させる薬ではないので「薬を飲んでいるからもう大丈夫!」ということではありません。

尿漏れの症状が中度以上の方や軽度でも完全に治したい場合には、病院で手術を受けるという選択肢もあります。「TOT手術」ではメッシュ状のテープを使って尿道を支える処置をします。15~30分程度で終わる簡単な手術で高齢の方でも行えるものですが、妊娠・出産を考えている女性はこの手術はできません。

いずれにしろ尿漏れの改善のためには「骨盤底筋体操」を併用すると効果的です。

2.今日からできる!尿漏れに効果的な基本の骨盤底筋体操

では実際に、尿漏れに効く骨盤底筋体操のやり方を見ていきましょう。

初めて骨盤底筋体操をする方には、仰向けに寝て行う方法をおすすめします。

1. 床に仰向けに寝て、足を肩幅くらいに開き、両ひざを軽く立てる
2. その状態で肛門と尿道のあたりをキュッと力を入れるように締め、そのまま5~20秒間キープする
3. 体の力を抜き、40~55秒間リラックスする

この「締める→緩める」の1セットを1分で行い、それを10回くり返します。
最初は5秒間キープで5セット位で始めて、慣れてきたら徐々にキープする秒数や回数を増やしていきましょう。

おならとおしっこを我慢する時の要領で、肛門と膣を上に吸い上げるイメージでやるといいでしょう。排尿時に尿を止められるようになったら、訓練が効いているということです。

この体操のポイントは、少しずつでいいので毎日行うことです。ジムの筋トレと同様で、一度に多くの回数をこなしても急に筋力はつきません。

尿漏れ対策の体操に慣れてきたら、今度はこの体操を色々な体位でやってみましょう!

3.尿漏れ改善には色々な体位での骨盤底筋体操がオススメ!

基本の骨盤底筋体操を別の体位で行う

仰向けで行う基本の骨盤底筋体操に少し慣れてきたら、他の姿勢でもやってみましょう。

うつぶせで行う

うつぶせに寝て、開脚するように片方の足だけを上に折り曲げた状態で行います。

よつんばいで行う

よつんばいになり、両手を肩幅に開いて行います。

椅子に座って行う

椅子に腰掛けて足を肩幅くらいに開きます。背中は伸ばして顔は正面を見ます。
肩の力を抜いて、お腹にも力が入らないよう下腹部に手を当てて確認しながら行います。

机などを使う

足を肩幅に開き、手も肩幅に開いて机に置き腕に全体重をかけます。
背中を伸ばし顔は正面に向けます。肩やお腹に力が入らないように注意しましょう。
腹筋や背筋もきたえる。

背筋をきたえる体操

基本の骨盤底筋体操と同じで仰向けの姿勢で行いますが、こちらはお尻を持ち上げてやる方法です。背筋を鍛える他にヒップアップ効果も期待できます。

腹筋をきたえる体操

腹筋には尿道の位置を安定させたり、便を押し出す役割があります。

1. 仰向けに寝て後頭部で手を組みます。両足を持ち上げて軽めにひざを曲げます。
2. 少しずつ胸を丸めていき、できるだけ上半身を丸めた状態で10~15秒間静止します。
3. 体を戻して10秒間リラックスします。
ステップ2~3を1セットとして5回くり返します。

腹筋や背筋をきたえることは様々な尿トラブルの予防にもなります。

4.尿漏れ対策の骨盤底筋体操は正しく続けることが一番大切です!

骨盤底筋体操を尿漏れ改善に活かすためには、いくつか注意すべきポイントがあります。

1日2回を続ける

本気で尿漏れを治したいのなら、骨盤底筋体操は毎日続けることが大切です。
最初のうちは体操の時間は短くてもいいですから、1日2回は行ってください。

慣れるまでは朝起きてすぐ1回、寝る前に1回というように決めておくといいでしょう。
骨盤底筋を締めている秒数や1日の回数は、徐々に増やしていけば大丈夫です。

正しい方法で体操する

骨盤底筋体操をする時に力を入れるのは、肛門・膣・尿道口だけです。
肩・お腹・足に力が入らないよう注意しましょう。
トイレの時に尿を途中で止めるのと同じ要領です。

正しい方法で締められているか確認する方法としては、

・お風呂に入った時に左手をお腹、右手を肛門の脇に当て、お腹に力が入らずに肛門がギュッとしめられるか確認する

・骨盤底筋体操をしている時、お腹の上に手をあてて腹筋が収縮していないか確認する。

などがあります。

どうしても要領が分からない場合は、専門家に相談して正しい方法を教えてもらってから始めてください。

産後すぐには行わない

産後の体調は個人差があるので医師に相談した方が良いですが、少なくとも骨盤底筋がある程度回復した3週間後以降に始めてください。

生活習慣も見直す

腹圧性尿失禁は出産・妊娠・加齢がきっかけになりますが、肥満や便秘なども尿漏れの要因としてあげられます。

食事の質や食べる時間などを見直して、体重を減らしたり便秘を治したりしていけば、尿漏れ体操との相乗効果が期待できるでしょう。

骨盤底筋体操は短時間でできますし、始めるのはとても簡単ですが、大変なのは毎日欠かさずに続けるという点です!しかし、ほとんどの尿漏れケースはこの体操を続けることで改善すると言われていますので、ぜひ頑張って日常生活に骨盤底筋体操を取り入れてみてください!

骨盤底筋体操をするだけでなく、この機に生活習慣を改善していければ、尿漏れだけでなく他の生活習慣病の予防・改善にもつながると思います。